私は高校生の時に2ヶ月間、土木事務所でバイトをしたことがあります。専門学校に行くための資金が必要だったこともあり、日給の高さに惹かれてバイトに応募しました。
その当時は色々とめちゃくちゃキツかったのですが、今思えば楽しい思い出も沢山あるのでちょっと書いていこうと思います。
・バイトの面接
早速応募して、電話で指定された場所に行きました。中にはパチンコの台がたくさんありました。女の子も何人か面接に来ていました。「ん?この子達も土木?」と思っているとどうも私の応募した会社は色々なところに派遣をするみたいな会社で女の子達はイベントスタッフ的な感じみたいでした。
ちょっと気が緩み待っていると、黒い髪を立てた目がギョロッとした強面の人が入ってきました。うわっ、怖っ!と、思っていると面接の人でした。いや〜、本当に圧力のある怖い人でした。履歴書を少し眺めると「いつから来れる?」と聞かれて少しびっくりしました。
えっ?もう採用?なんか他に質問とか無いのだろうか?
とりあえず、採用してもらい働く事になりました。年度末の2ヶ月間は公共事業も多く人手が沢山いるらしいです。おっ!ラッキーと思いながら家に帰りました。
早速作業服を買って明日に備えることに。真冬の寒い中、6時過ぎに事務所集合とのことで作業服を着て自転車で30分以上かかる道のりをせっせと漕いで行ってました。今考えるとすごい根性あったよな〜って思います。また、拘束時間が長いので普通のバイトの時給とあんまり変わらなかったかも…。遠いところの現場では車で1時間以上かかるのでかなり帰る時間も遅くなっていました。
土木の仕事は8時からなので、一旦事務所に顔を出して、母印を押します。それから、どこの現場に配置されるかを分けられて、車で複数人で現場に行きます。仕事内容は様々です。鳶の手伝いからセメント運び、解体等・・・。
事務所の前には百人以上の人がいて本当に色んな人がいました。体にたくさんの絵を入れている人。物凄い柄の悪い人。もう年寄りで歯が無い人。普通にボロボロの人。
母印を押させるのも、何でもハンコを持っていない人もいるらしく、偽名で働いている人もいるみたいでした。明神タツヤって名前の人がいてカッコいい名前だなっと思っていたのですが自分でつけた偽名らしいです。
う〜ん。ちょっとすごいところに来てしまったぞ〜。事務所前でコーヒーを飲みながらウロウロしてると私を面接した人が出てきて、名前を呼んで行きます。相変わらず怖いです。
私は車の免許を持っていなかったので、いつも誰かしらの車に乗って(だいたい4人)で現場にいきます。私にとってみんな初対面で車に乗るわけですから、ちょっと緊張します。怖い人もいるしね。
めっちゃ気を遣っていましたね〜。トラックに乗ったときは、スキンヘッドの人と2人でずっと一緒だったこともあります。私が年下ということもあり、優しくしてくれましたが。ほとんどが、下ネタでしたね!
土木事務所でバイトしてわかったこと
バイトして分かったことはたくさんあります。
・強面の人は優しい人が多い
強面の人は最初はとっつきにくいイメージがあります。しかし、少し一緒になるととても優しい人が多いのです。鳶の現場では最初はヘルメット越しにげんこつをもらっていたのですが、次第に優しくなりお使いを頼まれることが多かったのですが必ず、ジュースなどを奢ってくれました。
昼ごはんをご馳走になったりもしました。昔はやんちゃだったろうな〜って人もいたのですが、年下には金は出させない。みたいな感じで毎日誰かしらに何か買ってもらってました。昼休憩の話しはパチンコの話しが半分以上でした。
・力自慢が多い
昔やんちゃをしてた人が多そうなので、結構腕相撲とかしたがる人もいました。毎日現場で鍛えてるので腕は太い人が多く、その頃ガリガリだった私は指名されて腕相撲をしても勝てる訳もなく「鍛え方が足りんぞ!」と言われていました。まぁ、心の中ではなんで俺を選ぶんだ?勝てるの分かってるだろ?と思いながらも仕方なくやっていました。中には現役のプロボクサーもいました。
・歯が無い人が多い
60歳近い人と現場が一緒になると前歯が無い人が多かったです。タバコを吸う時も一本抜けた歯の所からタバコを入れて吸っていました。なんだか少し間抜けな光景に見えて、噴き出しそうになりながらも我慢していました。
その人は、暖かい甘いコーヒーが好きで休憩の度に一番甘いコーヒーを飲んでいました。若かった私でも体に悪そうだな〜と感じていました。歯にも影響あるのかなぁ?砂糖たっぷりだし…。しわくちゃの顔でポケットからしわくちゃの千円を出しお使いにいかされていました。
・逃げ出す人もいる
中には逃げ出す人もいます。まだ、この仕事に入ったばかりのおじちゃんが多かったです。現場仕事なので結構きついこともあります。ずーっと同じような事をすることもあります。昼休憩が終わってみるといつまで経っても帰って来ずそれからどうなったかは分からない人もいました。
私のバイト先は日給でその日にお金を貰える仕組みなのですが、何日間は会社預かりとなっていました。逃げ出す人がいるからみたいなのですが、結構いなくなる人はいました。
仕事内容は様々で、足場を運んだり渡したりセメントを混ぜたり、狭くて車が通れないところにセメントを運んだり、潰れたパチンコ屋や、家屋の解体など色々でした。
初めてする作業ばかりだったのですが、とても新鮮で楽しかったです(戦力にはなっていなかったと思いますが)
・危険もある
現場仕事はやっぱり危険が伴います。色々あったのですが一番びっくりしたのは、家屋の解体で屋根の瓦を外していたの一緒に隣で作業をしていた人が「うわっ」と言うかけ声と共にいなくなりました。
家屋の屋根が劣化しており踏み抜いたのです。幸い下まで落ちずどこかに引っかかったみたいで無傷でした。それからその人は何事も無かったかのように仕事を続けていました。
逆にそれを見た私の方が腰が引けてしまっていました。一歩間違えれば、大怪我をしていたかもしれません。
・肉体的にきついこともある
足場を運んだり、重いものを持ったり肉体的にもきついことはありましたが、それよりきついのは天候でした。私は冬にバイトをしていたのでとても寒かったです。
工期が近いのか分からないのですが、小降りの雨でもそのまま仕事を続けたりして、作業服は濡れて、手の感覚が無くなるようなこともありました。今思い出しても嫌です。車で暖房が効いていても震えていました。
・自由な人が多い
現場の仕事が終わって事務所に帰るときに、もう後部座席に座っているおじちゃん(60歳くらい)の人はワンカップを飲みながらタバコを更かしていました。その人の口癖は「もう、いつお迎えが来てもいいんやぁ〜」と言っていました。ちょっと面白かったです。あなたの前の席の人は運転してるんですよ~。
他にも色々とエピソードがたくさんあるのですが(ここには書けない)、若かったとはいえよく働いてこれたな、と思っています。周りの人が優しくしてくれたおかげでしょう。お金を稼ぐ大変さもよく分かりました。
今ではいい経験となり私の人生に変化をもたらしていることは間違えありません。
以上、土木でバイトをした話しでした~!!